素性
一緒に入浴をして食事をして、様々な会話をする。
このこと、あのこと、世間の話題、芸術、歴史、教育、経済。
I氏に対する新しい発見、新鮮なおどろき。
こうして話すたびに、増えていく。
心が躍ることもあるけれど、
真逆の考え方に、反駁こそしないまでも、
「ふ〜ん」と言ってみたりすることもある。
ちらりほらりと、I氏のこれまでの人生、
通ってきた道、環境がなんとなく想像できる。
向こうもきっとそう。
私達は仕事に対する考え方や、こなし方などについての話をしてはいる。
その日のスケジュールの話もするけれど、
何々関係の人間とパワーランチとか、
ヘビーな講演会があるとか、
どこそこへ出張とか、その程度。
芯の部分については実のところ話してはいない。
初対面の時、名刺交換をするような場でもなかったので、
お互いの正体は、具体的には言っていなかった。
聞くのも言うのも野暮。
●●関係のIさん。
××関係のmyさん。
その程度。
どのくらいのポジションで、どのくらいの幅を利かせているかは
何となくお互いに分かっている。
恋人として少し変な関係かもしれないけれど、
そういう知り合いは、結構いるし、
知らなくて困ることもない。
●●関係の仕事ということで、
軽くそちら方面の質問したりすることはあるけれど、
それでコネをつくることはもちろん無い。
パワーランチの相手にしようとも思わない。
今更自己紹介というのも、野暮の骨頂。
ネットで、調べると簡単に行き着くだろうけれど、
それは意味の無い事。
いいじゃないの、Iさん、myさんで。
言わでもの。
そのうち、別口から入ってきたりして、
「まぁ・・・そうなの」と分かるくらいで調度いい。
もしくは、恋人から友人に移行となったとき、
「実はこういうものですので、何かの時は・・・」
なんて、名刺を交換したりして(笑)
私は、I氏を『Iさん』とか『I様』と呼ぶ。
I氏は私を幼名で呼ぶ。
ここでは、それを『my』で統一しているが、
『myちゃん』だったり、『myさん』だったり、『my』だったり。
その時々のI氏の心持が現れていて分かりやすい。
「myさんの、お●●●、とても綺麗ですね」
という時と、
「myちゃんの、お●●●、とても綺麗」
という時は違う。
前者は、「ヨロシクオネガイイタシマス」的で、
後者は、「オレノmyチャン」的。
私の態度が違うというのもある。
前者では、「ヨロシクテヨ」的で、
後者では、「アン、オネガイシマス」的である。
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食事が済み、ベッドに移動。
「うふふ、持ってこられましたのね」
「はい。持ってきましたよ。myさんに預けられたモノも」
ベッドの上で革のアタッシュケースをパチンと開ける。
お道具やローションが並べられている。
お道具がまだ無かったときは、ゼロハリだったけれど、
お道具を使用し始めてからは、革のアタッシュ。
それ専用かしら。
オフィスのどこかに置いているのかしら。
行き先不明の時は、"革のアタッシュ"なんて、
秘書にチェックされていないかしら(笑)
「まずは、myさんコレはいかがですか?」
イルカタイプを取り出す。
「それは・・・どうかしら・・・」
「ダメですか?前回は感じまくっていたのに」
「アレは、感じるとは別物で・・・」
「では、コレですね。myさんの愛機」
「そうね。Wで」
「はいはい。わかりましたよmyさんを狂わせちゃいましょう」
小さな唸りをあげる二つのお道具でクリトリスから責められる。
「はう・・・」
「さぁて、myさんはどの辺りが感じますか?」
「日によって、変わるわ」
仰向けの私の脚が開かれ、その間にI氏が入る。
「では、今日のmyちゃんのポイントを見つけよッ」
じわりじわりと責められる。
ポイントを突いた時、喘ぎで反応するのに、
気が付いてもわざと避けたりして・・・
「あぁぁぁ・・・・あん!」
「ここでしょ。わかってるよ。でも、ダメ」
「あーん」
「myちゃんをもっと啼かせてからじゃないとね」
「もう・・・・」
一通り焦らされて、一気にクリトリスはプチドロップで
Gスポットはグランドロップでグリグリと責められると、
「あ、あ、あ、あぁぁぁ・・・・・うっ!イクッあんッ!」
官能の波に飲み込まれて、バタンとベッドに沈んでしまった。
「凄いイキッぷり。圧巻・・・」
後からI氏が入ってくる。
「ああぁぁ、気持ちいい。まだヒクヒクしてる」
グイグイと私の中をI氏が泳ぐ。
「あ・・・myちゃん・・・・はぁ、はぁはぁ・・・・myさん、
ファム・ファタル・・・・あぁぁ気持ちよすぎmyの中・・・・」
興奮してくると、私の呼び方が、ごちゃごちゃになる。
神経と思考、全てがソコに集中しているからか、
絶頂時はちょっとした錯乱状態。
もう、"とにかく"めいっぱいにキテくれる。
それが、とても愛おしい。
肩書きをもった社会人ではなくて、
一個人として、男として女として愛し合えたらそれでいい。
LHを出て、ほんの数メートル進んで、
少しだけ並ぶ二人の距離が開いて、
社会人の二人風になっていく。
電車のドアが閉まる直前に小さくバイバイをして、
ドアのシューッと閉まる音と共にそれぞれの日常にもどる。
洋服に微かにI氏の存在が残っていて寂しくなるけれど、
電車の混雑の中でそれはかき消され、
完全に一個人としての私だけが残る。
そして仕事用の携帯のメールチェックをする。
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『源氏』と『夕顔』のように、素性を知らないからこそ燃え上がるというのも興趣。
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