喋喋喃喃
shunが下着を着ける。
そろそろという合図。
私も下着を着ける。
接触が悪いのか、有線がとぎれとぎれに聞こえる。
スイッチを切って、私の携帯から音楽を流す。
気だるい気分にバラッズがぴったりかしら・・・・
「うーん。それより、こっちだな」
shunも携帯を操作して、次々と曲を聴かせてくれる。
どれも懐かしくて、ツボにハマる。
「それそれ、その頃は・・・・」なんて、年が同じだから共有する話も多い。
お互いに違う記憶なのだけれど、どこか溶け合って、
その頃、一緒に過ごしていたような気持ちになる。
同じお店にも行っていたみたいだから、どこかで背中合わせで踊っていたかもしれない。
ただ、shunは"ちゃら男"だったらしいから、私の範疇外ではあったけれど・・・・
shunもそうかもしれない。
高飛車で、ツンとした私なんて、"しゃらくさい女"だったでしょうから。
やはり、今こうして今現在のshunに出逢えてよかった。
今現在の私で出逢えてよかった。
秋の夕暮れは、瞬く間に闇を呼び寄せて、高速の周りの光を輝かせている。
車の中、行きと違って会話が途切れ途切れになる。
それでもいい。
カーオーディオから流れる音楽に、二人薄い鼻歌を合わせる。
20年前の曲から、最近の曲まで、shunが好きな曲は全て知っている。
デートというと、一緒にお食事というのが定番だけれど、
私達は、それが出来ない。
shunには禁忌食品がたくさんあるから・・・・
それを時々寂しく思うこともあるけれど、
メロディーを共有するのは、一緒に美味しい食事をするような感じがする。
「おいしいね」のかわりに「このラインがいいわよね」
「これは、このアルバムの中ではハズレじゃない?」
「うんうん。なんか違うよね。ちょっと間違ったよね」
味の感想、批評をするように、曲の感想をし合う。
時々携帯でshunが、お仕事の連絡をする。
「俺がいなくても、なんとか一日って成るもんなんだなぁ・・・・
俺、必要ない?
それなら必要としてくれるヒトと一緒にいた方がいい・・・」
shunがポツリと言う。
胸がキュンとなる。
「なーんてね。段取りちゃんとしてきたからだよね」
「そうね。やれば出来るのよ。やれば」
「・・・・キツ」
「うふふ。いいのよ。無理せずに、ゆるりと行きましょう」
「うん。・・・だよね」
いつの間にか私の街が見えてきた。
帰りの車は、あっという間に時間が過ぎる。
「もう・・・着いちゃったわ。じゃあね。気を付けて帰ってね」
shunが顔を寄せる。
下に落ちたものをとるように、身を沈めてお別れのキス。
胸元で小さく手を振ってshunの車を見送った。
「バイバイshun」
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【喋喋喃喃】(ちょうちょうなんなん)
男女がむつまじげに語り合うさま。
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