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聖人の恋(3)

2006年01月27日[01:13:34]

古典文学に見る男と女シリーズ 第22回 その3

前回の続きです。

餓死した聖人は、その後みるみる鬼へ変化していきました。
身の丈は八尺(240cm)、頭髪は無く、肌の色は磨いた漆のように黒く照り輝いています。
目は金椀を入れたように爛々と光り、
口は大きく裂け、剣のような歯と鋭い牙が上下に突き出ていました。
黒々とした裸体に槌をさした赤き褌の色目まぶしい己の姿に興奮した鬼は、
地を動かすような雄叫びをあげました。
「うぉぉぉぉぉっっ!!己が願い叶えられたり!!」
その声は都へも届くようでした。

 

「はっ・・・」
「どうなされましたか、宮様」
「何か、聞こえませんでしたか」
「いいえ。何も」
染殿の御殿では、あの時以来お后は宮中へは戻られずに留まっていらっしゃいました。
時に魂が抜けたようになられるお后を、
女房達はまた物の怪に憑かれたのではと心配でなりません。
でも、お后は物の怪ではなく、別のものに御体の奥底を捕らわれていらっしゃいました。

女の芯が何かにつかまれるような心地になられます。
そう、あの時、聖人と交わって以来。
「わたくしは今まで、何もかも満たされておりましたわ。
幼き頃から、帝の后になる娘として何不自由なく。
入内して後も、上様に大切に愛されて。
でも、聖人様が、わたくしに触れられて、
瞬く間にわたくしの何かが動き出したのですわ。
あのように、波に動かされるような体の悦び・・・・。
聖人様が去られてからは、わたくしの中には、物足りなさばかりが募るばかり。
今一度、聖人様と添いたいと思うだけでも罪なこと。
わたくしは、この心持を抑えてこのまま過ごすしかないのでしょう」
一人お后が思い沈んでいるのは、初めてお知りになられた女の官能を、
どうなさることも出来ない辛さからでした。

「いで・・・・」
お后の口に小さく言葉が上った時、雷鳴轟き、疾風が御簾を翻し、
大きな黒い塊がお后の御几帳の前に飛んできました。
その塊は大きく叫びながら立ち上がりました。
「われは、金剛山の聖人の鬼となりたる者なり。誓いどおり、后と睦び交わる為に参ったぞ」

女房達は、鬼の恐ろしき姿に驚き、倒れ迷い逃げだしました。

ところが、お后は鬼を見て怖がるどころか、にっこりと微笑んでいらっしゃいます。
そこに居る者は皆、鬼の霊力で后の御心を惑わしていると思っていました。
でも、お后は霊力で御心を狂わされているのではありませんでした。
心から聖人に逢いたいと思われていらっしゃいました。
見目形は変わっていても、その鬼は紛れも無く聖人。
恥ずかしそうにお顔を扇で隠して、鬼と共に御帳の中にお入りになられました。

女房たちの耳には、鬼とお后の仲のよい語らいが聞こえます。
「この時を、私は心の底から願っておりました」
「わたくしもでございます」
「今まで、本当に恋しく侘しく辛かったものです」
「わたくしもその通りでございます」
「このような姿になってまでも、あなたにお逢いしたかったのです」
「お美しいお姿ですわ。光り輝いておりますわ。お待ち申し上げておりました」
その内、御帳の中からは、お后の喜び乱れた声が聞こえてきました。
女房達は、御帳の中で何が行われているのか想像がつきますが、
どのように行われているのか知りたくてたまらなくなっておりました。
はしたない事と思いつつも、官能に目覚めたお后の声に自らをも重ねて想像せずには居られませんでした。

しばらくして、日が暮れる頃、鬼は去って行きました。
お后は一体どうなってしまわれたことかと、女房たちが急いでお后のそばへ行くと、
どうという事もなく、お后は静かにお座りになっておられました。
「ご無事でございましたか」
「何のことかしら」
にこりと微笑まれるそのお顔。
でも、女房達にはどこか御眼の奥底が恐ろしげでありました。
性に覚醒された御眼であるとは誰も思いもよりませんでした。

 

続きは次回にて。

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本編では、お后は鬼の催眠術により鬼を迎え入れたと書かれております。
でも、私は一度喜びを味わってしまた女の性が、鬼を呼び寄せ、
鬼もそれに呼応するように現れるというように書き換えました。

一度官能を味わってしまうと・・・・。
経験ありますでしょう。

古典 恋愛入門コメント:3 □ トラックバック:-◇ 


コメント一覧
この記事へのコメント◇
Beauty and Beast
myちゃん、すごーい。
私なんだかとても感じてしまったわ。

女の中にある鬼性が聖人を鬼にしてしまったのかもしれないわネー。美しい人は罪だわ。アヤカシアヤカシ・・・。

ヨーロッパにも、「美女と野獣」のテーマがあるけど、ルーツは同じなのかしら。野獣と交わる美女、は魔女信仰の世界だよね、ちょっとコワイ。

それを善として考えるにしても悪として考えるにしても、どうして、女の方に、官能の根源がある=男が女に惑わされたと考えるのかしら。男社会だったからかな。

myちゃんのリミックスは、女の視点で書かれてるところがいいのよね。続きが楽しみ!
2006/01/27(金) 08:19:19 | URL | Lisa #[ 編集]
とっても面白いです。
お后の気持ちすごく分るわ~

まだ、逢う日が決まっておりません。って
去年も同じこと言っていたような?
この時期は冬眠期間なのかもしれません(ため息・・・)
2006/01/27(金) 12:27:56 | URL | ruru #[ 編集]
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

▼Lisaちゃん
古典の誘いに来てくれてありがとう。

そう。女の視点でね。重ねられる事がきっと女ならあると思うの。


▼ruruちゃん
まぁね。冬はね。ゆっくりとね。
大丈夫よ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
2006/01/29(日) 01:21:05 | URL | my #[ 編集]
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